修理の豆知識 「クラリネットのタンポ(パッド)」

よくお客様からの質問に、「クラリネットのタンポは色々種類があるけど、どう違うんですか?」
という質問を受ける事があります。
今回は、タンポの種類、そしてその音色、耐久性、価格の違い等をお話したいと思います。

「たかがタンポ、されどタンポ」タンポの違いでこれだけの音色の差が現れる!!

みなさんはタンポの材質にこだわったことはありますか?
なかなかココまでこだわる方は、実際は少ないと思います。。。
が、今の音色に満足できない方!タンポを替えることによって、その悩みから解き放たれる!!かも・・・。(;^。^A

今回は、代表的な3つのタンポを紹介致します!

(1)フィッシュスキンタンポ

 現在最も一般的に使用されるタンポです。
圧縮したフェルトの上に、ブラダー(豚の腸)を巻いています。
特徴は、素材が薄いため、トーンホールへの密着が非常に良いという事。
そしてフェルトの柔らかさが伝わりやすいので、音も柔らかく繊細で、指への振動も自然です。また、価格がリーズナブルなのも魅力の一つです。
  ただ、素材が薄いため、耐久性はあまり良くありません。
湿度や水分の影響を受けやすく、時間が経つにつれて表面にシワが寄り、このシワが「チリチリ」と雑音になって音に出てきます。
寿命は、概ねですが、毎日数時間吹くような場合では、だいたい半年程度です。
キィの場所によっても、交換の頻度が異なり、C#/G#キィやBbトリルキィ、Aキィ、G#キィは水分の通り道となるため傷みやすいタンポです。
ご自分の楽器を是非ご覧頂いて、パッドが膨らんでいたりケバケバになっていたり、擦り切れているようであれば要交換です!

 

(2)ゴアテックスタンポ

 フィッシュスキンタンポの上に薄い「ゴアテックス」が巻いてあります。
ゴアテックスは、ウィンドブレーカーなどの衣類にも使用されている素材で、湿気を外へ逃がし、かつ密閉性、耐久性に優れています。
 薄くてもかなり丈夫で、フィッシュスキンタンポで起こる、チリチリという雑音を防ぐ事が出るのも大きな特徴です。また、表面がツルツルしていてとても滑らかなので、息の通りがスムーズになり、音色も明るくなります。
 中身はフィッシュスキンタンポと同様なので、フィッシュスキンタンポのよさを残している反面、使用していくうちに中のフェルトが圧縮されて硬くなってきます。
また、湿気を通すため、フェルトが膨らんでくるという可能性もあります。
「まったく狂わないタンポ」というわけではないので、交換後の調整も行っていくことが大切です。
価格はフィッシュスキンパッドよりもやや高めです。

 

(3)皮タンポ

 フェルトの上に皮を巻いたパッド。非常に耐久力があり、密閉性にも優れています。吹奏感が重たくなると思われがちですが、最近では皮の加工技術の向上により、薄く表面の滑らかなものが使用されているため、音の反応がよく、音色は重くならず柔らかい音色になります。
  純正がフィッシュスキンタンポの楽器でも、耐久性に優れているという事から、傷みやすい部分に皮を使用しているものを最近では良く見るようになりました。
素材の硬化が進むにつれ、音も硬くなってきます。硬くなると音が多少明るめに聞こえるので、「それが良い」という方もいらっしゃいます。もっともこれは好みの領域なので、どちらが良いかはなんともいえませんが・・・。
また、皮タンポの中には防水加工が施されているものもあります。そういったタンポはベトツキが出る事もあるので、きちんと管理をする必要があります。
コチラのタンポもゴアテックスと同様、高めの価格設定となっております。

 

いままで何の興味も無かった方、結構いらっしゃると思いますが、タンポ一つでもこれだけ変わるわけです!
この様々な素材に興味があれば、是非交換が必要になった時にチャレンジしてみてください。
きっと、今まで使用していた楽器でも、また違った反応になったり、音色も変わってくると思いますよ。
困った時は、お気軽にご相談くださいね。

 

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