修理の豆知識 「サックスのタンポ(パッド)」
どの木管楽器にも共通していえることですが、楽器の「音色」を維持するために、タンポの安定性、耐久性が非常に重要な要素となります。
サックスのタンポに関しては、タンポが大きく音色に影響する箇所もあり、材質の硬度や、レゾネター(反射板)の材質、またより耐久性の良い防水タンポなどが日々研究されています。
そんな各メーカーのタンポに、どんなコンセプトがあり、それがどう音色に影響するか、検証していきたいと思います!
反射板の違いによる音色の影響は??
これからご紹介するサックスのタンポの中央部に注目!!
サックスはトーンホールが大きいため、中心部にレゾネター(反射板)を設けて音色の違いを作り出しています。
一概に「メタル=高価=良い音」「プラスティック=安価=良くない音」 とは言い切れません。
ここでは、そういった各メーカーのタンポを紹介していきたいと思います。。。
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(1)YAMAHA
ヤマハのタンポは、タンポの材質、反射板の形状など、様々な研究がなされており、
最新モデル(YSS-875EX、YTS-875EX)と、YAS-82Z、YTS-82Zの一部に使用されている、撥水コーティング革製タンポは、従来のものとはなめし方が変わり、色は明るめになっています。コーティングによりサックス奏者の悩みの種である、タンポのベトツキが軽減され、高い密閉度で息漏れを防ぎます。
レゾネター(反射板)は全モデルプラスティックで統一されています。
研究されたレゾネター(反射板)の形状が、ヤマハのまろやかな音色を作っています。←旧式のタンポは、豚革を使用していて、中に息漏れを防ぐビニールが入っていました。
■あなたの楽器のタンポは大丈夫??
タンポにこんな症状が現れていたら即交換!!
経年劣化により膨らんでしまったタンポも要注意!!
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(2)YANAGISAWA
機種により防水、半防水、プラスティックレゾネター(反射板)、金属レゾネター(反射板)があります。半防水のタンポは皮が柔らかく、その分音色も柔らかくなります。
防水の金属レゾネター(反射板)は、音の立ち上がりが良く、はっきりとした音色となります。
タンポを接着するためのラック(熱で溶かすニスのようなもの)は2種類、たっぷりと入っているので外れにくく、タンポが変化した際の微調整にも対応しやすくなっています。
■あなたの楽器のタンポは大丈夫??
タンポにこんな症状が現れていたら即交換!!
経年劣化により膨らんでしまったタンポも要注意!!
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(3)H.SELMER
セルマーのタンポは、時代により使用しているタンポが異なります。
マークⅥやマークⅦ、またリファレンスにはプラスティックのレゾネター(反射板)が使われ、ソフトでまろやかな音色が特徴です。
また現行のSA80Ⅱ、シリーズⅢには金属のレゾネター(反射板)が使用され、輪郭のはっきりとした音色になります。
タンポの表面はしっかりとコーティングされていて、高い密閉度を保っています。
製造の過程(工場出荷状態)では、ラックではなくゴム系の接着剤を薄くつけているだけなので、ラックを使用することにより、音の響きが変わるかも・・・。
■あなたの楽器のタンポは大丈夫??
タンポにこんな症状が現れていたら即交換!!
経年劣化により膨らんでしまったタンポも要注意!!
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◆画像をクリックすると拡大写真がご覧になれます。
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上記を読んで、「別のタンポに交換したい」という方もいらっしゃるはず・・・。
しかし、メーカーによってタンポのサイズが異なり、適合するか確認する必要があります。
中には、同じ場所でも1mm以上大きさが違うものあるので、要注意です。
基本は純正のタンポを使用してくださいね。各メーカーが研究を重ねて使用しているわけなので、
純正が一番、そのメーカーの「個性」を引き出してくれると思いますよ。
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下倉楽器 管楽器リペアセンター 越智
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