修理の豆知識 「フルートのヘッドコルク」

フルートの頭部管には、響きにおいて非常に重要な役割を果たす 「ヘッドコルク」というパーツが組み込まれています。
え?どこにあるか見えない??そうです!「ヘッドコルク」は外からは決して見えない。
けれどもフルートの音を支える大変重要なパーツなのです!
今回は、この「ヘッドコルク」なるものをピックアップしたいと思います!

「渦」で音をつくるフルートの心臓部に迫る!

フルートは、他のどの管楽器とも違う点があります。それはなんだか分かりますか?

そうです!フルートはクラリネットやサックスで使用するリードや、金管楽器で使う唇などの「振動体」が無く、
空気の渦、うなりによってあの美しい音色が奏でられます。(リコーダーやオカリナなども同じですね)
そのために、その「空気の渦」を効率よく出せる構造が必須となります。
そう!ココを読めば、あなたの音色が劇的に変化する!!かも・・・。


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皆さんがお持ちのクリーニングロッド(掃除棒)の先端に、「線」が刻んであるはず・・・。
この線が、唄口の中心にくるよう、調整します。

 


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これらを補うのが、このヘッドコルクです。管体を密閉させることにより効率よく振動が音になり、またコルクが管体を内側から抑えるため、響きを主管、足部管へいきわたらせる事が出来ます。コルクは経年劣化により縮んできてしまい、密閉性が失われるため、定期的な交換が必要になります。

 


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2,反射板の位置を確認してみる。反射板の位置は、付属のクリーニングロッドを頭部管に入れ、ロッドの線が唄口の中心になるようにします。(写真左を参照ください)ただしヘッドキャップを回したときにまわし加減がゆるいようであれば要交換です。
3,頭部管を振ってみよう。かちゃかちゃと音がするようであれば要交換です。

下倉楽器 管楽器リペアセンター 小栗千果
 

フルート吹きならおさえておきたい人物

テオバルト・ベーム  1800年代 ドイツ楽器製作者

頭部管の先がつぼまっていたり、反射板の位置が決まっているのには、音程の補正と密接な関係があるからです。
例えば、頭部管が完全な「円筒」の形状だった場合、オクターブが上がると音程が低くなります。
他にも様々な問題を改善するため、反射板の位置や頭部管の形状を数値として出し、
現在のフルートの基本となる、

「管端から17mmの位置の唄口」
「円錐形状の頭部管」

を確立させたのが、テオバルト・ベームです。

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