2008/12/06 吉川忠英&田中彬博によるアコースティックギター・ショー

2008年12月6日 前日の雨・強風の荒れた天気が、まるで何もなかったかのようなライブにぴったりの快晴となった。
ときおりジョークでオーディエンスの笑いを誘いながら卓越したテクニックとアコースティックギターの素晴らしいサウンドを、ノリノリのロックナンバーや繊細で和やかなバラードナンバーなどで楽しませてくれた。
今回のアコースティックギター・ショーは、第一部 田中氏、第二部 吉川氏、第三部 二人のギター・ショー と三部構成となっており、緩急のついた素晴らしいパファーマンスとなった。
それでは、「楽しさ」「優しさ」に包み込まれたライブのレポートをお届けしよう。

第一部 田中彬博 「お客さん、緊張なさらないで!」(笑)


まずは、田中彬博氏の登場だ。
個性的なフィンガースタイルで、一体どんなサウンドを聴かせてくれるのかと楽しみにしていたのだが、それがかえって聴く側の緊張になったのか、会場はとても静か。
「お客さん、緊張なさらないで!」と気遣いの言葉と関西流の面白いジョークで、ちょっと肩に力が入っていたオーディエンスの皆さんを和ませてくれた。

田中氏はオリジナル曲とカヴァー曲を計4曲を披露。
一人とは思えないほどのパワフルなサウンドは、まるで目の前でドラム、ベース、ギター、ボーカルという編成のバンドが演奏しているかのようだ!たった一本のギターから出るグルーブ感たっぷりのリズムとベースラインにあのメロディが乗るなんて・・・しかも、それを目の前で演奏しているというライブ感!これはたまらなくイイ!

そして、感情たっぷりのバラードナンバーでは、繊細なフレーズを優しいタッチで奏でオーディエンスを沸かせた。
「この若さでこんなにギターが弾けるなんてすごいよね」と吉川忠英氏が言ってたのだが、その言葉の裏にはテクニックのすごさだけではないという思いもあったのではないだろうか。
つまり、ギタリストに欠かすことができない 「楽曲への感情移入」 これが田中氏には備わっているということなのだろう。それがあのバラードナンバーで聴かせた美しいメロディにはっきり表現されていたと思う。

また、YAMAHAアコースティックギターの新機軸「ARE処理」についても詳しく話してくれた。なんでも、開発時から携わっていたとか・・・。ARE処理を施しているギターとそうでないギターをアルペジオとコードストロークの二つで弾き比べもしていただいたのだが、ARE処理を施しているギターはよく響く!というより、音が大きいといったところか。
最後の曲では、全員の手拍子とコーラスに合わせて「学園天国」で大盛り上がり!これは楽しい!!
このテンションのまま、吉川忠英氏にバトンタッチ!

第二部 吉川忠英 「皆さんこんばんは・・・ん?まだ昼間か(笑)」

さあ、次は吉川忠英氏の登場だ。
大きな拍手に包まれながらステージに上がると、
「皆さんこんばんは・・・ん?まだ昼間か(笑)」といきなりのジョークで観衆を笑いの渦に巻き込んだのだが、それとはうらはらに一曲目はしっとりした優しいナンバーでアコギサウンドの魅力をたっぷり聴かせてくれた。
吉川氏の独特なリズム感覚熟成されたプレイスタイルに、
長年の時間をともにしてきた愛機のヤマハギターから放たれる美しい旋律は、目を閉じてゆったりと体を横に揺らしながら聴かずにはいられなかった。

曲が終わると「それでは次はチューニングという曲をお送りします。一弦一弦の響きをお楽しみください(笑)」とまたもお得意のジョークを飛ばし、会場はすっかり「吉川氏の作る空間」となっていた。
そして、「これぞ吉川サウンド!」とも言える弾き語りは、まさに「円熟ギタリスト」と呼ばれるにふさわしいものだった。
フレーズ・・・いや、一音一音に何かメッセージがたくされているかのようなギターサウンド、ボイスパーカッションを交えた歌、歌詞、どれをとっても渋い!これほど「円熟」という言葉が似合うギタリストは他にいないと思う。

ライブ半ばには、ご自身の新しいシグネチュア・モデル「LJX26C CY」のサウンド紹介も披露。(詳しくはこちら)
オープンDチューニングの開放弦の鳴りを活かしたナンバーでその素晴らしいサウンドは、会場を震わせるほどのすごさがあった。このシグネチュアモデルは完全限定生産ということなので、ぜひチェックしていただきと思う。
さあ、次はお待ちかね「吉川忠英VS田中彬博」のメインイベントだ!

第三部 吉川忠英 VS 田中彬博

メインイベントでもある第三部のギターバトルでは、二人の個性をぶつけ合うというより互いの個性を尊敬し楽しい楽曲を披露しようというような感じだった。
田中氏のリズミカルなコードストロークに吉川氏が渋い歌やボイスパーカッションが乗せたり、ゆったりと奏でる吉川氏の落ち着いたバッキングに繊細なタッチで感情たっぷりにソロを弾く田中氏、そしてこの時期に欠かせないクリスマスソングを用意してくれたりと、聴かせる・見せる・楽しませるといったライブならではの醍醐味を存分に味わせてくれた。
二人の出会いは「ある一枚の絵」から始まったという。それ以来ツアーなどで長い時間をともにしてきた二人の絆とチームワークは、音楽という形でオーディエンスの皆さんにしっかりと伝わっていたのではないだろうか。
そして二人を支えているヤマハギターのポテンシャルの高さ豊かな倍音が美しいサウンドなどヤマハが作るアコースティックギターの素晴らしさもこのライブをもって再確認させてくれた。

2時間ほどのライブは、とても有意義であったことはい言うまでもない。

Special Guest プロフィール

田中彬博

京都府出身。1986年1月2日生まれ、AB型。’04 TEENS’MUSIC FESTIVAL京都大会で大賞を受賞し、関西・沖縄大会に出場。
以来、本格的なソロ活動を始め、各種コンテストで賞を総ナメ。
ヤマハデモンストレーターとしてスペイン・ポルトガルで演奏し好評を得る。
2008年4月には待望のファーストアルバムが全国発売。

吉川忠英

1971年渡米、フォークロック・グループ「EAST」のメンバーとして米国キャピトルレコード社よりアルバム「EAST」を発売。帰国後ソロ活動に入り、アーティストデビュー。
通産12枚のソロアルバムを発表している。
スタジオ・ミュージシャンとしても数々のニューミュージック系アーティストのレコーディングに参加。
近年では福山雅治・夏川りみの編曲・プロデュースにおいても高い評価を得ている。

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