2008/11/24シュテファン・シュルツ トロンボーンマスタークリニックレポート

11月 30th, 2008

【スケジュール】2008年11月24日(月・祝)
10:00~11:00/11:00~12:00/12:00~13:00/13:00~14:00

【講師プロフィール】
シュ テファン・シュルツは1971年にベルリンで生まれ、トロンボーンのレッスンをハラルド・ヴィンケラー 教授及びヨアヒム・ミッテラッハー教授に受ける。その後にはチャールズ・バーノン氏のレッスンを受けるためにシカゴへ向かった。 1993年から2002年にシュテファン・シュルツはベルリン国立歌劇場管弦楽団のバストロンボーン奏者としてダニエル・バレンボエムのもとで演奏し、こ こではオーケストラアカデミーの指導者としてもその力を発揮した。また1996年から2002年にはバイロイト音楽祭で演奏し、2000年から2004年 には客員教授としてベルリン・ハンスアイスラー音楽大学において教鞭を振るった。
彼はベルリンフィル・ブラスアンサンブル、ジャーマンブラス、ダニエル・シュニーダートリオなど数々のアンサンブルのメンバーとして活躍し、ソリストとし ても数々のオーケストラとコンチェルトを競演している。日本を始めとし、台湾、ベネズエラ、スペイン、スイス、スウェーデン、イタリア、ジュリアード音楽 大学、ブタペスト・フランツリスト音楽大学、PMFその他多数の街でマスターコースの講師として後進の指導に当たっている。2002年にベルリンフィルに 入団し、2004年夏よりベルリン芸術大学の教授に就任し、後進の指導にも力を注いでいる。

10:00~11:00  滝田 姫子さん(京都市立芸術大学1年生)
曲目:L.Grondahl/Concerto

感想:今回のマスタークラスでは、自分の未熟なところを再確認させていただけて、
とても収穫の多いレッスンでした。今回教えていただいた練習方法などをしっかり活かして、
先生のような素晴らしいプレーヤーになれるよう頑張ります。
シュルツ先生、佐塚さん、下倉楽器の皆さん、ありがとうございました。

11:00~12:00  佐藤 太一さん(東京音楽大学2年生)
曲目:ディティーユ/コラール・カデンツァとフーガ

感想:今、解決すべき問題を丁寧に指導してくださり、とてもよいレッスンでした。
いろいろな方のレッスンを受けてみたいので、是非また連絡を下さい!楽しみにしています。
ありがとうございました。

12:00~13:00  川熊 そよさん(東京音楽大学2年生)
曲目:ヨンゲン/メロディアス・エチュードより「ロッシュ・アリアとポロネーズ」

感想:自分が普段演奏するときに気を使っていなかった所がわかり、とても参考になりました。
もっと自分に自信をもって演奏しよう!と思いました。ありがとうございました。

13:00~14:00  井上 巧さん(武蔵野音楽大学2年生)
曲目:グロンダール/コンチェルト

感想:今回初めて下倉楽器のマスタークラスを受講したのですが、まず店員さんが良かったです!
シュルツ先生はいつも僕がしていることと逆のことをやるべきだと教えてくださり、丁寧に一つ一つ実演しながら教えてくださり、本当に勉強になりました。
通訳の方もとてもわかりやすくてよかったです!また受講したいです!
ありがとうございました。

▼金管楽器売場スタッフと。

2008/11/27 ガボール・タルコビ トランペット マスタークリニックレポート

11月 27th, 2008

2日目を迎えたベルリンフィル首席トランペット奏者、ガボール・タルコビ氏によるレッスンが下倉楽器本店3階にて開催されました。

【スケジュール】2008年11月27日(木)
10:00~11:00/11:00~12:00/12:00~13:00/13:00~14:00

【講師】ガボール・タルコビ
Gabor Tarkovi
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
首席トランペット奏者

【会場】
お茶の水下倉楽器
本店3F

【講師プロフィール】
1969年にハンガリーのエスターゴンに生まれる
当時、クラリネットやピアノを習っていた彼は、金管奏者が多い家族の影響でトランペットを始めた。その当時から彼はオーケストラ奏者を目指していた為、フ ランツリスト音楽院やプタペスト音楽院で学んだ。その後、ロイトリンゲンフィルハーモニー、ベルリンシンフォニーオーケストラ首席とバイエルン放送響首席 をへて、2005年よりベルリンフィルの首席奏者に就任。そのほかにも、ベルリンフィルブラスアンサンブルやオーストリアのプロブラス、その他多くのアン サンブルやソロなどでも、ヨーロッパやアメリカ、日本などで活躍している。また母国ハンガリーやドイツ、スイス、オーストリア、などを中心に多くのマス ターコースで後進の指導にも当たっている。

(趣味は水泳、ジョギング、映画鑑賞)

10:00~11:00  松原 一郎さん(桐朋音楽大学)

曲目:オーケストラスタディより
感想:とても充実したレッスンで、すごく良かったです。ありがとうございました。

11:00~12:00  大島 健太郎さん

曲目:オーケストラスタディより
感想:昨日に引き続きお世話になりました。ありがとうございました。

12:00~13:00  伊藤 慶亮さん(洗足学園音楽大学2年生)

曲目:ベーメ/コンチェルト
感想:素晴らしい音楽と音色で幸せなレッスンでした。ありがとうございました。

13:00~14:00  高 長行さん(東京ミュージック&メディアアーツ尚美 ディプロマ2年生)

曲目:オーケストラスタディより
感想:とても勉強になりました。
通訳の方もソフトな感じでよかったです。ありがとうございました。

リペアセンタースタッフと。

2008/11/24ゲオルグ・シュレッケンベルガー ホルンマスタークラスレポート

11月 25th, 2008

ベルリンフィルハーモニー管弦楽団ホルン奏者によるマスタークラスクリニックが実現しました!

【スケジュール】
2008年11月24日(月・祝)
①10:00~ ②11:00~ ③12:00~ ④14:00~ ⑤15:00~

【講師】ゲオルク・シュレッケンベルガー
-Georg Schreckenberger
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 低音担当ホルン奏者

【会場】 お茶の水下倉楽器本店3階

【講師プロフィール】

1970年マンハイムで生まれ。12歳のときに最初のレッスンを受ける。
1986年ペーターアーノルド氏の下でハイデルベルグ音楽院で勉強を始める。
1988年西ドイツ放送響にて低音担当ホルン奏者の席につく。
1992年よりバイロイトフェスティパルオーケストラのメンバーに選ばれる。
1993年よりベルリンフィルの低音担当ホルン奏者に就任。
また多数の録音演奏旅行をベルリンバロックゾリステン、ジャーマンホルンアンサンブル、
ベルリンフィルの8人のホルニストなどで行っている。

10:00~11:00  大平 紹美さん(東京音楽大学1年生)
曲目:R.Strauss/HORN KONZERT

感想:表現の事だけではなく、アンブシュアのことやブレスの取り方、大きな音を出すための練習方法も教えてくださって、とても勉強になりました。<br>個人練習をするときに役立つ練習をたくさん教えてくださったのでこれからの練習に活かしていきたいと思います。ありがとうございました。

11:00~12:00  小口 遥さん(東京音楽大学1年生)
曲目:フランツ・シュトラウス/

感想:自分が苦手にしていること(高音等)の練習の方法(基礎練習の方法)も教えていただけて、これからの練習にとても役立ちそうです。
また、間近で迫力のある音を聴けて、レッスンを受けて良かったと思いました。
先生はとても気さくな方でとても楽しかったです。
自力でドイツ語を聞き取れるようになりたいと思いました。ありがとうございました。

12:00~13:00  藤田 真理絵さん(武蔵野音楽大学4年生)
曲目:モーツァルト/ホルン協奏曲第4番

感想:自分が気になっていたアンブシュアの話や、苦手分野の練習方法が分かったので良かったです。
ありがとうございました。

14:00~15:00  森本 奈緒美(洗足学園音楽大学卒)
曲目:R.シュトラウス/ホルン協奏曲第1番

感想:とても楽しくレッスンを受講する事が出来ました。自分が日々悩んでいる事が解消されたり、新しい練習方法などもたくさん教えていただけて本当に勉強になりました。
今後も今日のレッスンで学んだ事を活かして、もっともっと出来るよう頑張りたいと思いました。
本当にありがとうございました。

15:00~16:00  新井 初美さん(洗足学園音楽大学4年生)
曲目:Hermann Neuling/Bagatelle

感想:低音奏者の先生ということでバガテルを見ていただきました。
細かいリズムの取り方、低音の練習の仕方などを教えていただき、課題がたくさん見つかったのでこれからの練習に活かしていきたいと思います。

16:00~17:00  高島 愛さん(茨城大学2年生)
曲目:モーツァルト/ホルン協奏曲第4番

感想:先生がとても明るく優しい方で、あっという間の1時間でした。
ずっと悩んでいた弱点について、丁寧に教えていただけたので、これからの練習につなげていきたいです。
どうもありがとうございました。

▼リペアセンタースタッフと。

▼金管楽器売場スタッフと。

2008/11/21ジャック・モージェ トロンボーンマスタークラスクリニックレポート

11月 21st, 2008

【スケジュール】

2008年11月21日(金)

①11:00~ ②12:00~ ③14:00~ ④15:00~ ⑤16:00~

【講師】 ジャック・モージェ
-Jacques Mauger-
フランス国立パリ音楽院教授

【会場】 お茶の水下倉楽器本店3階

【会場】お茶の水下倉楽器本店3Fにて
【協力】ビュッフェ・クランポン株式会社


【講師プロフィール】
15歳からトロムボーンを吹き始める。
フランス国立ルーアン音楽院に入学し、1978年に一等賞を得て卒業。
続いてフランス国立リヨン高等音楽院に入学、ミッシェル・ベッケに学ぶ。また、フランス国立パリ高等音楽院に進んでジル・ミリエールに学び、1985年に 一等賞を得て卒業。ニース・フィルハーモニック・オーケストラの首席奏者を経て、パリ・オペラ座管弦楽団の首席奏者をつとめた。
1986年、マルクノイキルヘン国際音楽コンクール名誉賞。
1989年、トゥーロン国際音楽コンクール第三位。
現在、フランス国立パリ音楽院教授。世界でも数少ないトロムボーンのソリストとしてレコーディングやコンサート等様々な分野で活躍中。 (使用楽器:Antoine Courtois AC420BH-1)

11:00~12:00 波平 茂さん (沖縄県芸術大学卒)

曲目: J.M.DEFAYE ALA MANIERE DE DEBUSSY

感想:フランス音楽をちょっと知れた気がする。言葉はわからなかったが音楽のニュアンスは感じることができた。

12:00~13:00  吉澤 幸也 (洗足学園音楽大学1年)

曲目: CAVATINE

感想:とても素晴らしいレッスンでした。とても自分にとってプラスになったと思います。先生もとてもおもしろくてよかったです。

14:00~15:00 木戸 啓隆 (早稲田大学3年)

曲目:ロパルツ/変ホ単調の小品

感想:今回はフランス人の作曲家であるロパルツの小品をレッスンしていただきました。モジェさんの重要なレパートリーであるフランスものであることも手伝ってか、熱心に教えていただきました。ただ、それに対して自分の練習足らずが露呈し、基礎的な事の弱さが再認識されました。また良い経験をさせてもらったのでこれからも精進していこうとおもいます。

ありがとうございました。

15:00~16:00 高井 天音

曲目: S.ルソー/Piece Concertante
感想:とても気さくな方で、終始楽しいレッスンでした。なによりジャック・モージェ氏の音を間近で聴くことが出来たのは本当に貴重な体験だと思います。とても刺激を受けました。この機会を用意してくださった全ての方にこの場をか借りて、

厚く御礼を申し上げます。ありがとう御座いました。

16:00~17:00  丸田 和輝 (日本大学芸術学部 4年生)

曲目: Fantaisie/Concertante

感想:今回、ジャック・モージェ氏のレッスンを受講させて頂き誠にありがとう御座います。今まで2回下倉楽器さんの方でバストロンボーンのレッスンを受けさせていただいたのですが、今回はトロンボーンの奏法として基本的な事、そしてとても重要な事を教えていただきました。「大きく吹きすぎだよー」と言われたことはとても意外な一言で(丁寧にト言うことは今の課題で予想していましたが)

その分フレージングで1つ1つの音色に気をくばらなければならないと勉強になりました。

明日、見ていただいた曲を本番で演奏するので、今日教わったことを上手く消化していい演奏が出来ればと思います。

通訳していただいた小野さんをはじめマスタークリニックを紹介してくださった古賀先生、下倉楽器の皆様に感謝いたします。

本当にありがとう御座います。

リペアセンタースタッフと。                                                            売り場のスタッフと。

2008/11/10フリッツ・ダムロウ トランペットマスタークリニック・レポート

11月 10th, 2008

【スケジュール】
2008年11月10日
①11:00~12:00 ②12:00~13:00 ③14:00~15:00 ④15:00~16:00

【講師】フリッツ・ダムロウ
ロイヤル コンセルトヘボウ管弦楽団 首席トランペット奏者

【会場】お茶の水下倉楽器本店3Fにて
【協力】YAMAHA

【講師プロフィール】

1991年よりアムステルダム ロイヤル コンセルトへボウ管弦楽団の首席奏者を務める。
これまでにG.ショルティ、B.ハイティンク、M.ヤンソンスなど世界的な指揮者と共演。
またソリストとしてもヨーロッパ、アメリカ、日本、メキシコなどでリサイタル、
室内オーケストラとの共演など世界的に活躍している。
マーストリヒト音楽院で学んだ後、J.スタンプ、T.スティーブンス、P.ティボーの各氏に師事。
現在オーケストラ、ソリストの活動の他、世界各国で開催されているマスタークラスやアムステルダム音楽院で後進の指導にあたっている。「de Haske Publications」より「Fitness for Brass」、「Multystyle Studies」、「Bel Canto for Brass」、「 Festive Baroque」など彼の教則本や曲集などが出版されている。

11:00~12:00  山崎 亜里(東京ミュージック&メディアアーツ尚美 卒業)

曲目: Two Portraits / Joseph Turrin
感想:憧れのダムロウさんにレッスンしていただいて、そしてすぐとなりで吹いていただいて夢のようでした。
自分の悪い癖を無くし、良い奏法を体に覚え込ませるよう、毎日練習したいと思います。
ありがとうございました。

12:00~13:00  吉川 美菜子さん(国立音楽大学4年生)

曲目: ヒンデミット/トランペットソナタ
感想:とても勉強になりました。

いつもの先生とは違うことを学べたので、よい経験になりました。

14:00~15:00 伊藤 慶亮さん (洗足学園音楽大学 2年生)曲目:オーケストラスタディ

感想:今まで取り組んでこなかったアプローチを教えていただき

とても為になりました。ありがとうございました。

15:00~16:00  肥田 尚子さん (武蔵野音楽大学卒業)

曲目:オーケストラスタディ
感想:とてもわかりやすいレッスンで、さらに一緒に演奏してくださったので

本当に勉強になりました。 ありがとうございました。

売り場スタッフと

匠たちの「楽器道」 ~第1回~ 我々は楽器版ER(緊急救命室)なんです

10月 26th, 2008
「楽器街」として知られる日本の「カルチェラタン」お茶の水にあって、管楽器ではもっとも古くから親しまれている「下倉楽器」。映画「スウィングガールズ」にもその名は登場し、全国レベルの知名度を誇る。その理由は、同店のもつリペア体制にあるようだ
 

 

修理要請は「まったなし」で突然やってくる

下倉楽器お茶の水店には、リペアセンターが完備されている。
一階のギターフロアから順に階段を昇っていくに従って次第に街の喧噪は遠のき、最上階のりペアセンターは木管金管それぞれのスペシャリストが、いつも静かに作業を展開している。人は大勢いるのだが、ひとりひとりが真剣に目の前の楽器と取り組んでいるのだ。その場にいるだけで、こちらの身も引き締まる雰囲気である。
 「今はコンクール時期ですからね、毎日かけこみがあるんです」
  リペアセンターの「マネージャー」をつとめる坂元明氏は、同店きってのスペシャリスト。その技術はプロフェッショナルかも高く評価されているが、愛嬌のある風貌はいわゆる気難しい職人気質とは無縁のように思える。が、その笑顔の裏にはさまざまな想いがうずまいているようだ。
「本当に、本番直前でタンポがとれちやった!なんて青ざめて駆け込んでくる子供達を見ると、とても心が痛むんです。どんなに忙しくても、とにかくなんとかしてあげよう、と思って…」
 どんなことがあってもにこやかな笑顔を絶やさないのは、お客に余計な心配をかけないため、なのかも。
「この仕事は、救急病院みたいなところがありますね。毎日、どんな『病人』がくるのかわからない(苦笑)。だからスタッフには、どんな急な『駆け込み』にも、できるだけ誠意をもって対応するように指導しているんです」
  しかしいくら「誠意」があっても、どうしようもない故障や事故はあるもの。そのような場合でも対処はできるのだろうか?取材班が見たところ、工房はとても整理整頓されているけれど、たとえば修理に必要な大型工具等は見あたらない。そのことをおそるおそる聞くと坂元氏は「フフフフ」と不敵な笑顔。
「まあ、別のところで話しましょうか?」
 え?ど、どこへ連れていくんです?ま、まさか。想像はあらぬ方向へ走りかけるが、押し殺して階段を昇る坂元氏についていく。
 

隠されていた秘密兵器たち

連れていかれた先は、屋上。物置きがあって、そのまわりには朝顔等が涼し気に栽培されているが、それを自慢するためではなさそうだ。
「ひとまずこちらをご覧ください」
 坂元氏が「物置き」の扉をあけた。あらま!

物置き、ではなかったのだ。中には本格的な「パフ」が装備されていた。パフ、つまり金属を磨きあげる装置である。高速回転する綿布で、金属表面をきれいに磨きあげる装置。な、なんでこんなものがここに?

 

 「このパフは、本来楽器屋レベルで装備する必要はない、といわれているものです。ちょっとした傷程度は、もっと小さなパフ装置ですんでしまいますしね。しかし先述のように、うちには実にいろいろな楽器が『待ったなし』で持ち込まれてくるのです。だから、なにがあってもいいように、万全の体制で臨んでいるんですね」
  なるほど。大型楽器の表面補修も、別の工房に運んだりせず、ほぽ「その場」でなんとかなる、というわけだ。
「もちろん修理はこういう大掛かりなものばかりが大事なのではありません。今度はあらためて下の工房をご覧いただきましょうか」

 

 そして見せられたのが、パチンコ玉にしてはいびつで、しかも大きさがいろいろある銀色の玉の群れ。
「順序が逆になりましたが、パフで表面処理をする以前に、金管楽器が凹んだ状態ならまず『ヘコ出し』をおこなう、つまり凹んだところを平坦に戻す作業が必要になります」
  たとえばよくぶつけてしまいがちなトランペットのベルとU字管がハンダ付けされているわけではない。
凹むとけっこうやっかいな場所なのだ(が、よく凹ませてしまうのだ)。
「この銀の玉をワイヤーに通し、凹んだところを直していくんです。内部は見えないから、外側から磁石で誘導しながら作業をするんですよ」
 この鎖の玉のシリーズも、これほど種類をそろえるのはかなり大変なのだそうだ。数が多ければ多いほど、キメの細かい対応が可能になる。

「うちにはホントに、珍しい楽器の修理の依頼が飛び込んできます。我々職人にとってはうれしい話で、たとえばバスサックスやコントラバスクラなど、楽器屋でも店頭ではめったに見られない楽器の奥の奥まで知ることができるんです。一度でも触れば、どんな状態がその楽器の最善』の状態なのかを知ることが可能になる」
それらは「経験値」としてスタッフの皆さんの「腕」にしまいこまれる。
「神の手、じゃないけれど、そのうちに触っただけで、その楽器が今どんな状態なのかが判るようになるものです。それにはもちろん時間が必要でしょうけれど」 そうこうするうちにも、「駆け込み」がどんどん飛び込んでくる。まだ開店早々なのに、早くもヒートアップしつつある。

「本当はもっと秘密兵器があるんです。結局修理というのは凹みとかどこかが外れたとかいうことを『処理』するだけじゃなくて、お客さんの気持ちまで含めて『元通り』もしくは『元に限りなく近い状態』にするのが究極の目標でしょう?とな
ると、徹底的にきれいにする『道具』が必要になる」
なるほど、お話はよく理解できる。しかし、きれいにするならさっきのパフもあるし、あとは手できれいにふけばいいのでは?
そう尋ねると、眼鏡の奥のやさしそうな目がまた、キラリとひかった。
「フフフフ」
また笑ってる?こ、今度はナニを見せてくれるんですか?

 

朝一番のりペアセンター、坂元マネージャーは早くも電話でアーティストの方と修理の方向性について検討中

 

暑い!この日は今年一番の猛暑でした,「こんな日に屋上で撮影?」といいたげな坂元氏の表情。
ご協力、感謝します!

 

その暑い屋上の、一見「物置き」みたいにみえる小屋には冷暖房完備の「パフ装置」が!

 

これが凹だしの「玉」群

 

このようにワイヤーを通し・・・

 

磁石でどこに「玉」があたっているかをチェックし、そこを叩く!

 

雑誌「楽器族BRASStribe 2007 Vol.2より

 

 

 

 

 

 

修理の豆知識 「ピストンフェルト」

10月 26th, 2008

トランペットやユーフォニアムなど、ピストンを使用した楽器に必ず付いている「ピストンフェルト」。
ピストンの異音を抑えるとともに、ピストンの高さを調整するためにも大変重要な役割を果たします。
果たして、どのように、またどれくらい使われているのでしょうか?

                                                     

ピストン楽器についているフェルト類(ピストンフェルト・笠フェルト)の役割は、大きく分けると2つあります。 
・ノイズ(雑音)を取る。
・穴位置を合わせる。

「ピストンのノイズ」とは、フェルトが薄くなったり、水分やオイルを吸ったときに「カチカチ」と金属が当たり合う音です。

この音がすると楽器を吹いている時に音の邪魔をしたり、吹奏感を悪くします。こうなるとフェルトの交換をしたほうがいいです。 
    
ピストンの中に入るのはフェルトだけではありません。

中にはコルクを使ったものや、パッド(スポンジ状のもの)などがあります。


 
 
 「笠」に入るものにはフェルトとゴムがあります。
中には笠に何も付いていなく、押金にフェルトやコルクが付いているものもあります。
フェルトには黒や緑、赤、茶色といった、多くの色があります。
また笠の材質を変更する事で、ピストンを押した感じや吹奏感が変化します。
 

「穴位置を合わせる」とは、ピストンの穴を抜差し管の穴の位置をぴったり合わせる事で、この穴があっていないと吹奏感に影響します。

息の流れがスムーズでなくなり、抵抗感を感じたり詰まったような感じがします。
楽器を吹いていて何かいつもと違うと感じたら、ピストンのフェルト、笠のフェルトを確認してみてください。 

 ・ピストンの穴のチェック方法。

   
トランペットの場合、第2抜差し管を抜いてピストンを押し、穴が合っているか見ることができます。
他の楽器の場合、第2抜差し管を抜いてもピストン内部が見えない状態の場合、リペアセンターにお持ち頂ければチェックさせていただきます。
       
  ・フェルトの交換時期。
フェルトの交換時期は、実際にご自身の楽器をご覧いただき、以下の内容に該当するようであれば交換が必要です。
    
・ピストンを動かしたときにノイズがする時。
・フェルトが汚れたり薄くなっている時。
・ピストンの穴と抜差し管の穴の位置がずれているとき。また、定期的にフェルトを交換するのも良いでしょう。
   
フェルトの役割は、楽器にとってとても重要です。
また、価格も決して高いものではないので、できる限りマメに交換してください。
下倉楽器リペアセンターでは、多くのメーカーの部品を用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

下倉楽器リペアセンター 田中
 

 

修理の豆知識 「ウォーターキィばね」

10月 26th, 2008

前回の豆知識ではW/Kコルクについて取り上げましたが、そのW/Kコルクもただ付いているだけでは何の役にも立ちません。 W/Kコルクを管体にぴったり密着させるための”力”が必要になります。
その役目を担っているのがW/Kスプリングです。
W/Kのコンディションは前回の豆知識を見られた方はこまめにチェックされていると思いますが、
その時にW/Kスプリングも一緒にチェックしましょう。

一般的なW/Kスプリングの形状は楽器やメーカーによって多少の差異はありますが、基本的な巻きはほぼ一緒で
2箇所の脚を管体に引っ掛ける事によってスプリングとしての役目を果たします。

                             一般的なW/Kスプリング
                      
                     
                                特殊な形状をしたW/Kスプリング
  

 

 

  

W/Kスプリングの不具合のほとんどが「折れる」事によって起こります

このような症状が起きるとW/Kをきちんと塞ぐ事が出来なくなり、音が出づらく(出なく)なったりしてしまいます。

しかし、引っ掛かっている2箇所の足が同時に折れたり外れたりしてしまう事はほとんどありません。
まず片側が折れたり外れたりする事が多くあるのですが、もう一方の脚が掛かっているため突然音が出なくなったりする事はありません。
しかしW/Kスプリングの力が半減してしまっているのできちんとW/Kコルクが塞がれていない可能性がありますし、残りの一方が折れてしまうともう演奏する事は出来なくなってしまいます。
W/Kの開き加減が急に軽くなったりしたら要注意です。
W/Kスプリングチェックして折れていないか確認して、折れていたり外れていたりしたら早急に交換しましょう。

 
 折れたW/Kスプリング  
  

  

色々なW/Kスプリング
リペアセンターの在庫
リペアセンターでは各種メーカーのW/Kスプリングを取り揃えています。交換も10分前後で可能です。
また古い楽器などで純正部品のご用意が無い場合でも他メーカーのものを合わせて使用することが
可能な場合もあるのでお気軽にご相談下さい。

修理の豆知識 「フルートのヘッドコルク」

10月 26th, 2008

フルートの頭部管には、響きにおいて非常に重要な役割を果たす 「ヘッドコルク」というパーツが組み込まれています。
え?どこにあるか見えない??そうです!「ヘッドコルク」は外からは決して見えない。
けれどもフルートの音を支える大変重要なパーツなのです!
今回は、この「ヘッドコルク」なるものをピックアップしたいと思います!

「渦」で音をつくるフルートの心臓部に迫る!

フルートは、他のどの管楽器とも違う点があります。それはなんだか分かりますか?

そうです!フルートはクラリネットやサックスで使用するリードや、金管楽器で使う唇などの「振動体」が無く、
空気の渦、うなりによってあの美しい音色が奏でられます。(リコーダーやオカリナなども同じですね)
そのために、その「空気の渦」を効率よく出せる構造が必須となります。
そう!ココを読めば、あなたの音色が劇的に変化する!!かも・・・。


↑画像をクリックすると拡大します

皆さんがお持ちのクリーニングロッド(掃除棒)の先端に、「線」が刻んであるはず・・・。
この線が、唄口の中心にくるよう、調整します。

 


↑画像をクリックすると拡大します

これらを補うのが、このヘッドコルクです。管体を密閉させることにより効率よく振動が音になり、またコルクが管体を内側から抑えるため、響きを主管、足部管へいきわたらせる事が出来ます。コルクは経年劣化により縮んできてしまい、密閉性が失われるため、定期的な交換が必要になります。

 


↑画像をクリックすると拡大します

2,反射板の位置を確認してみる。反射板の位置は、付属のクリーニングロッドを頭部管に入れ、ロッドの線が唄口の中心になるようにします。(写真左を参照ください)ただしヘッドキャップを回したときにまわし加減がゆるいようであれば要交換です。
3,頭部管を振ってみよう。かちゃかちゃと音がするようであれば要交換です。

下倉楽器 管楽器リペアセンター 小栗千果
 

フルート吹きならおさえておきたい人物

テオバルト・ベーム  1800年代 ドイツ楽器製作者

頭部管の先がつぼまっていたり、反射板の位置が決まっているのには、音程の補正と密接な関係があるからです。
例えば、頭部管が完全な「円筒」の形状だった場合、オクターブが上がると音程が低くなります。
他にも様々な問題を改善するため、反射板の位置や頭部管の形状を数値として出し、
現在のフルートの基本となる、

「管端から17mmの位置の唄口」
「円錐形状の頭部管」

を確立させたのが、テオバルト・ベームです。

修理の豆知識 「ウォーターキィコルク・ゴム」

10月 26th, 2008

ウォーターキィコルク(以下W/K)と一言で言っても金管楽器はもちろん、サックスにも使われているものもあり、また楽器のメーカー・機種によりその大きさ・形状・色と、様々な種類のものが出ています。
下倉楽器リペアセンターでは、14ブランド・30種類ものW/Kコルク(ゴム)を常時在庫して、即座に適合できるようにしています!

たかがW/Kコルク!されどW/Kコルク??W/Kがもたらす音色の変化とは?

W/Kコルクは、俗に言う「ツバ抜き」の穴をふさぐためについている事は言うまでもありません。
楽器の機能としてW/K自体は必要ないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません(なぜかといえば抵抗になるから)
しかし、この「穴」「段付き」によって、ほど良い抵抗感を生み出し、またコルクやゴムの材質・形状によってもその吹き心地が異なる。
「ホントぉ??-_-」って思った方、是非最後まで読んでください!!

←画像をクリックすると拡大します。


ウォーターキィがもたらす効果は大きい!

(1)W/Kコルクがもたらす役割

W/Kコルク(ゴム)の一番大切なこと。それは息漏れ、水漏れを防ぐ事にある。
それだけではなく、W/K自体を取り付けることにより、ほど良く管体の振動を抑え、
より遠鳴りする楽器になるのだ!
もちろん製造メーカーは、それを熟知した上でW/Kを取り付け、それぞれが「音色のキャラクター」の一部として機能しているのだ!!
中には、より抵抗感を抑えた「アマドキィ」というものも存在する!この「アマドキィ」は、抵抗は最小限に抑えられるが、その機構上固着しやすく、手入れがしにくいのが難点だ!

    
▲W/Kを分解した様子  ▲抵抗感を抑えたアマドキィ  ▲アマドキィ分解の様子
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(3)コルク・ゴムの種類をご紹介!

ここでは、それぞれのメーカーのコルク・ゴム・スポンジを紹介!


YAMAHA

V.bach

材質も形状も様々

メーカーにより
工夫が見られる
W/Kコルクは他にゴムやスポンジ状のものもある。
これはやもりブランドそれぞれのオリジナルで吹奏感や音色などに影響している様だ。ゴムにはコルクのように輪切りのタイプとニップルと呼ばれる煙突型の部位に入り込むタイプがある(凸型)。凸型は管の中の凹により出来た振動の伝わり方、息の流れをスムーズにしてやると言う役目がある。

 

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▲使い込んだW/Kたち

(3)では、どのようになったら交換が必要か?

皆さんの楽器のW/Kコルク、大丈夫ですか??
この場所ってあんまり凝視しないし、気がついたらボロボロになっているケースがほとんど!

■あなたの楽器のコルクは大丈夫??

コルク(ゴム)を見て、こんな風になっていたらすぐに交換しよう!!
常に塞ごうという力が加わっている場所なので、購入したばかりでも
使用状況によっては早いうちに交換の必要がある楽器も・・・。

●コルクが破れている。
●コルクがつぶれてしまっている。
●水漏れ、息漏れがする。またそのような感覚になる。

▼そんな上場がある方は、今すぐ交換しよう!!

 

 

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