2008/11/21ジャック・モージェ トロンボーンマスタークラスクリニックレポート

11月 21st, 2008

【スケジュール】

2008年11月21日(金)

①11:00~ ②12:00~ ③14:00~ ④15:00~ ⑤16:00~

【講師】 ジャック・モージェ
-Jacques Mauger-
フランス国立パリ音楽院教授

【会場】 お茶の水下倉楽器本店3階

【会場】お茶の水下倉楽器本店3Fにて
【協力】ビュッフェ・クランポン株式会社


【講師プロフィール】
15歳からトロムボーンを吹き始める。
フランス国立ルーアン音楽院に入学し、1978年に一等賞を得て卒業。
続いてフランス国立リヨン高等音楽院に入学、ミッシェル・ベッケに学ぶ。また、フランス国立パリ高等音楽院に進んでジル・ミリエールに学び、1985年に 一等賞を得て卒業。ニース・フィルハーモニック・オーケストラの首席奏者を経て、パリ・オペラ座管弦楽団の首席奏者をつとめた。
1986年、マルクノイキルヘン国際音楽コンクール名誉賞。
1989年、トゥーロン国際音楽コンクール第三位。
現在、フランス国立パリ音楽院教授。世界でも数少ないトロムボーンのソリストとしてレコーディングやコンサート等様々な分野で活躍中。 (使用楽器:Antoine Courtois AC420BH-1)

11:00~12:00 波平 茂さん (沖縄県芸術大学卒)

曲目: J.M.DEFAYE ALA MANIERE DE DEBUSSY

感想:フランス音楽をちょっと知れた気がする。言葉はわからなかったが音楽のニュアンスは感じることができた。

12:00~13:00  吉澤 幸也 (洗足学園音楽大学1年)

曲目: CAVATINE

感想:とても素晴らしいレッスンでした。とても自分にとってプラスになったと思います。先生もとてもおもしろくてよかったです。

14:00~15:00 木戸 啓隆 (早稲田大学3年)

曲目:ロパルツ/変ホ単調の小品

感想:今回はフランス人の作曲家であるロパルツの小品をレッスンしていただきました。モジェさんの重要なレパートリーであるフランスものであることも手伝ってか、熱心に教えていただきました。ただ、それに対して自分の練習足らずが露呈し、基礎的な事の弱さが再認識されました。また良い経験をさせてもらったのでこれからも精進していこうとおもいます。

ありがとうございました。

15:00~16:00 高井 天音

曲目: S.ルソー/Piece Concertante
感想:とても気さくな方で、終始楽しいレッスンでした。なによりジャック・モージェ氏の音を間近で聴くことが出来たのは本当に貴重な体験だと思います。とても刺激を受けました。この機会を用意してくださった全ての方にこの場をか借りて、

厚く御礼を申し上げます。ありがとう御座いました。

16:00~17:00  丸田 和輝 (日本大学芸術学部 4年生)

曲目: Fantaisie/Concertante

感想:今回、ジャック・モージェ氏のレッスンを受講させて頂き誠にありがとう御座います。今まで2回下倉楽器さんの方でバストロンボーンのレッスンを受けさせていただいたのですが、今回はトロンボーンの奏法として基本的な事、そしてとても重要な事を教えていただきました。「大きく吹きすぎだよー」と言われたことはとても意外な一言で(丁寧にト言うことは今の課題で予想していましたが)

その分フレージングで1つ1つの音色に気をくばらなければならないと勉強になりました。

明日、見ていただいた曲を本番で演奏するので、今日教わったことを上手く消化していい演奏が出来ればと思います。

通訳していただいた小野さんをはじめマスタークリニックを紹介してくださった古賀先生、下倉楽器の皆様に感謝いたします。

本当にありがとう御座います。

リペアセンタースタッフと。                                                            売り場のスタッフと。

2008/11/10フリッツ・ダムロウ トランペットマスタークリニック・レポート

11月 10th, 2008

【スケジュール】
2008年11月10日
①11:00~12:00 ②12:00~13:00 ③14:00~15:00 ④15:00~16:00

【講師】フリッツ・ダムロウ
ロイヤル コンセルトヘボウ管弦楽団 首席トランペット奏者

【会場】お茶の水下倉楽器本店3Fにて
【協力】YAMAHA

【講師プロフィール】

1991年よりアムステルダム ロイヤル コンセルトへボウ管弦楽団の首席奏者を務める。
これまでにG.ショルティ、B.ハイティンク、M.ヤンソンスなど世界的な指揮者と共演。
またソリストとしてもヨーロッパ、アメリカ、日本、メキシコなどでリサイタル、
室内オーケストラとの共演など世界的に活躍している。
マーストリヒト音楽院で学んだ後、J.スタンプ、T.スティーブンス、P.ティボーの各氏に師事。
現在オーケストラ、ソリストの活動の他、世界各国で開催されているマスタークラスやアムステルダム音楽院で後進の指導にあたっている。「de Haske Publications」より「Fitness for Brass」、「Multystyle Studies」、「Bel Canto for Brass」、「 Festive Baroque」など彼の教則本や曲集などが出版されている。

11:00~12:00  山崎 亜里(東京ミュージック&メディアアーツ尚美 卒業)

曲目: Two Portraits / Joseph Turrin
感想:憧れのダムロウさんにレッスンしていただいて、そしてすぐとなりで吹いていただいて夢のようでした。
自分の悪い癖を無くし、良い奏法を体に覚え込ませるよう、毎日練習したいと思います。
ありがとうございました。

12:00~13:00  吉川 美菜子さん(国立音楽大学4年生)

曲目: ヒンデミット/トランペットソナタ
感想:とても勉強になりました。

いつもの先生とは違うことを学べたので、よい経験になりました。

14:00~15:00 伊藤 慶亮さん (洗足学園音楽大学 2年生)曲目:オーケストラスタディ

感想:今まで取り組んでこなかったアプローチを教えていただき

とても為になりました。ありがとうございました。

15:00~16:00  肥田 尚子さん (武蔵野音楽大学卒業)

曲目:オーケストラスタディ
感想:とてもわかりやすいレッスンで、さらに一緒に演奏してくださったので

本当に勉強になりました。 ありがとうございました。

売り場スタッフと

匠たちの「楽器道」 ~第1回~ 我々は楽器版ER(緊急救命室)なんです

10月 26th, 2008
「楽器街」として知られる日本の「カルチェラタン」お茶の水にあって、管楽器ではもっとも古くから親しまれている「下倉楽器」。映画「スウィングガールズ」にもその名は登場し、全国レベルの知名度を誇る。その理由は、同店のもつリペア体制にあるようだ
 

 

修理要請は「まったなし」で突然やってくる

下倉楽器お茶の水店には、リペアセンターが完備されている。
一階のギターフロアから順に階段を昇っていくに従って次第に街の喧噪は遠のき、最上階のりペアセンターは木管金管それぞれのスペシャリストが、いつも静かに作業を展開している。人は大勢いるのだが、ひとりひとりが真剣に目の前の楽器と取り組んでいるのだ。その場にいるだけで、こちらの身も引き締まる雰囲気である。
 「今はコンクール時期ですからね、毎日かけこみがあるんです」
  リペアセンターの「マネージャー」をつとめる坂元明氏は、同店きってのスペシャリスト。その技術はプロフェッショナルかも高く評価されているが、愛嬌のある風貌はいわゆる気難しい職人気質とは無縁のように思える。が、その笑顔の裏にはさまざまな想いがうずまいているようだ。
「本当に、本番直前でタンポがとれちやった!なんて青ざめて駆け込んでくる子供達を見ると、とても心が痛むんです。どんなに忙しくても、とにかくなんとかしてあげよう、と思って…」
 どんなことがあってもにこやかな笑顔を絶やさないのは、お客に余計な心配をかけないため、なのかも。
「この仕事は、救急病院みたいなところがありますね。毎日、どんな『病人』がくるのかわからない(苦笑)。だからスタッフには、どんな急な『駆け込み』にも、できるだけ誠意をもって対応するように指導しているんです」
  しかしいくら「誠意」があっても、どうしようもない故障や事故はあるもの。そのような場合でも対処はできるのだろうか?取材班が見たところ、工房はとても整理整頓されているけれど、たとえば修理に必要な大型工具等は見あたらない。そのことをおそるおそる聞くと坂元氏は「フフフフ」と不敵な笑顔。
「まあ、別のところで話しましょうか?」
 え?ど、どこへ連れていくんです?ま、まさか。想像はあらぬ方向へ走りかけるが、押し殺して階段を昇る坂元氏についていく。
 

隠されていた秘密兵器たち

連れていかれた先は、屋上。物置きがあって、そのまわりには朝顔等が涼し気に栽培されているが、それを自慢するためではなさそうだ。
「ひとまずこちらをご覧ください」
 坂元氏が「物置き」の扉をあけた。あらま!

物置き、ではなかったのだ。中には本格的な「パフ」が装備されていた。パフ、つまり金属を磨きあげる装置である。高速回転する綿布で、金属表面をきれいに磨きあげる装置。な、なんでこんなものがここに?

 

 「このパフは、本来楽器屋レベルで装備する必要はない、といわれているものです。ちょっとした傷程度は、もっと小さなパフ装置ですんでしまいますしね。しかし先述のように、うちには実にいろいろな楽器が『待ったなし』で持ち込まれてくるのです。だから、なにがあってもいいように、万全の体制で臨んでいるんですね」
  なるほど。大型楽器の表面補修も、別の工房に運んだりせず、ほぽ「その場」でなんとかなる、というわけだ。
「もちろん修理はこういう大掛かりなものばかりが大事なのではありません。今度はあらためて下の工房をご覧いただきましょうか」

 

 そして見せられたのが、パチンコ玉にしてはいびつで、しかも大きさがいろいろある銀色の玉の群れ。
「順序が逆になりましたが、パフで表面処理をする以前に、金管楽器が凹んだ状態ならまず『ヘコ出し』をおこなう、つまり凹んだところを平坦に戻す作業が必要になります」
  たとえばよくぶつけてしまいがちなトランペットのベルとU字管がハンダ付けされているわけではない。
凹むとけっこうやっかいな場所なのだ(が、よく凹ませてしまうのだ)。
「この銀の玉をワイヤーに通し、凹んだところを直していくんです。内部は見えないから、外側から磁石で誘導しながら作業をするんですよ」
 この鎖の玉のシリーズも、これほど種類をそろえるのはかなり大変なのだそうだ。数が多ければ多いほど、キメの細かい対応が可能になる。

「うちにはホントに、珍しい楽器の修理の依頼が飛び込んできます。我々職人にとってはうれしい話で、たとえばバスサックスやコントラバスクラなど、楽器屋でも店頭ではめったに見られない楽器の奥の奥まで知ることができるんです。一度でも触れば、どんな状態がその楽器の最善』の状態なのかを知ることが可能になる」
それらは「経験値」としてスタッフの皆さんの「腕」にしまいこまれる。
「神の手、じゃないけれど、そのうちに触っただけで、その楽器が今どんな状態なのかが判るようになるものです。それにはもちろん時間が必要でしょうけれど」 そうこうするうちにも、「駆け込み」がどんどん飛び込んでくる。まだ開店早々なのに、早くもヒートアップしつつある。

「本当はもっと秘密兵器があるんです。結局修理というのは凹みとかどこかが外れたとかいうことを『処理』するだけじゃなくて、お客さんの気持ちまで含めて『元通り』もしくは『元に限りなく近い状態』にするのが究極の目標でしょう?とな
ると、徹底的にきれいにする『道具』が必要になる」
なるほど、お話はよく理解できる。しかし、きれいにするならさっきのパフもあるし、あとは手できれいにふけばいいのでは?
そう尋ねると、眼鏡の奥のやさしそうな目がまた、キラリとひかった。
「フフフフ」
また笑ってる?こ、今度はナニを見せてくれるんですか?

 

朝一番のりペアセンター、坂元マネージャーは早くも電話でアーティストの方と修理の方向性について検討中

 

暑い!この日は今年一番の猛暑でした,「こんな日に屋上で撮影?」といいたげな坂元氏の表情。
ご協力、感謝します!

 

その暑い屋上の、一見「物置き」みたいにみえる小屋には冷暖房完備の「パフ装置」が!

 

これが凹だしの「玉」群

 

このようにワイヤーを通し・・・

 

磁石でどこに「玉」があたっているかをチェックし、そこを叩く!

 

雑誌「楽器族BRASStribe 2007 Vol.2より

 

 

 

 

 

 

修理の豆知識 「ピストンフェルト」

10月 26th, 2008

トランペットやユーフォニアムなど、ピストンを使用した楽器に必ず付いている「ピストンフェルト」。
ピストンの異音を抑えるとともに、ピストンの高さを調整するためにも大変重要な役割を果たします。
果たして、どのように、またどれくらい使われているのでしょうか?

                                                     

ピストン楽器についているフェルト類(ピストンフェルト・笠フェルト)の役割は、大きく分けると2つあります。 
・ノイズ(雑音)を取る。
・穴位置を合わせる。

「ピストンのノイズ」とは、フェルトが薄くなったり、水分やオイルを吸ったときに「カチカチ」と金属が当たり合う音です。

この音がすると楽器を吹いている時に音の邪魔をしたり、吹奏感を悪くします。こうなるとフェルトの交換をしたほうがいいです。 
    
ピストンの中に入るのはフェルトだけではありません。

中にはコルクを使ったものや、パッド(スポンジ状のもの)などがあります。


 
 
 「笠」に入るものにはフェルトとゴムがあります。
中には笠に何も付いていなく、押金にフェルトやコルクが付いているものもあります。
フェルトには黒や緑、赤、茶色といった、多くの色があります。
また笠の材質を変更する事で、ピストンを押した感じや吹奏感が変化します。
 

「穴位置を合わせる」とは、ピストンの穴を抜差し管の穴の位置をぴったり合わせる事で、この穴があっていないと吹奏感に影響します。

息の流れがスムーズでなくなり、抵抗感を感じたり詰まったような感じがします。
楽器を吹いていて何かいつもと違うと感じたら、ピストンのフェルト、笠のフェルトを確認してみてください。 

 ・ピストンの穴のチェック方法。

   
トランペットの場合、第2抜差し管を抜いてピストンを押し、穴が合っているか見ることができます。
他の楽器の場合、第2抜差し管を抜いてもピストン内部が見えない状態の場合、リペアセンターにお持ち頂ければチェックさせていただきます。
       
  ・フェルトの交換時期。
フェルトの交換時期は、実際にご自身の楽器をご覧いただき、以下の内容に該当するようであれば交換が必要です。
    
・ピストンを動かしたときにノイズがする時。
・フェルトが汚れたり薄くなっている時。
・ピストンの穴と抜差し管の穴の位置がずれているとき。また、定期的にフェルトを交換するのも良いでしょう。
   
フェルトの役割は、楽器にとってとても重要です。
また、価格も決して高いものではないので、できる限りマメに交換してください。
下倉楽器リペアセンターでは、多くのメーカーの部品を用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

下倉楽器リペアセンター 田中
 

 

修理の豆知識 「ウォーターキィばね」

10月 26th, 2008

前回の豆知識ではW/Kコルクについて取り上げましたが、そのW/Kコルクもただ付いているだけでは何の役にも立ちません。 W/Kコルクを管体にぴったり密着させるための”力”が必要になります。
その役目を担っているのがW/Kスプリングです。
W/Kのコンディションは前回の豆知識を見られた方はこまめにチェックされていると思いますが、
その時にW/Kスプリングも一緒にチェックしましょう。

一般的なW/Kスプリングの形状は楽器やメーカーによって多少の差異はありますが、基本的な巻きはほぼ一緒で
2箇所の脚を管体に引っ掛ける事によってスプリングとしての役目を果たします。

                             一般的なW/Kスプリング
                      
                     
                                特殊な形状をしたW/Kスプリング
  

 

 

  

W/Kスプリングの不具合のほとんどが「折れる」事によって起こります

このような症状が起きるとW/Kをきちんと塞ぐ事が出来なくなり、音が出づらく(出なく)なったりしてしまいます。

しかし、引っ掛かっている2箇所の足が同時に折れたり外れたりしてしまう事はほとんどありません。
まず片側が折れたり外れたりする事が多くあるのですが、もう一方の脚が掛かっているため突然音が出なくなったりする事はありません。
しかしW/Kスプリングの力が半減してしまっているのできちんとW/Kコルクが塞がれていない可能性がありますし、残りの一方が折れてしまうともう演奏する事は出来なくなってしまいます。
W/Kの開き加減が急に軽くなったりしたら要注意です。
W/Kスプリングチェックして折れていないか確認して、折れていたり外れていたりしたら早急に交換しましょう。

 
 折れたW/Kスプリング  
  

  

色々なW/Kスプリング
リペアセンターの在庫
リペアセンターでは各種メーカーのW/Kスプリングを取り揃えています。交換も10分前後で可能です。
また古い楽器などで純正部品のご用意が無い場合でも他メーカーのものを合わせて使用することが
可能な場合もあるのでお気軽にご相談下さい。

修理の豆知識 「フルートのヘッドコルク」

10月 26th, 2008

フルートの頭部管には、響きにおいて非常に重要な役割を果たす 「ヘッドコルク」というパーツが組み込まれています。
え?どこにあるか見えない??そうです!「ヘッドコルク」は外からは決して見えない。
けれどもフルートの音を支える大変重要なパーツなのです!
今回は、この「ヘッドコルク」なるものをピックアップしたいと思います!

「渦」で音をつくるフルートの心臓部に迫る!

フルートは、他のどの管楽器とも違う点があります。それはなんだか分かりますか?

そうです!フルートはクラリネットやサックスで使用するリードや、金管楽器で使う唇などの「振動体」が無く、
空気の渦、うなりによってあの美しい音色が奏でられます。(リコーダーやオカリナなども同じですね)
そのために、その「空気の渦」を効率よく出せる構造が必須となります。
そう!ココを読めば、あなたの音色が劇的に変化する!!かも・・・。


↑画像をクリックすると拡大します

皆さんがお持ちのクリーニングロッド(掃除棒)の先端に、「線」が刻んであるはず・・・。
この線が、唄口の中心にくるよう、調整します。

 


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これらを補うのが、このヘッドコルクです。管体を密閉させることにより効率よく振動が音になり、またコルクが管体を内側から抑えるため、響きを主管、足部管へいきわたらせる事が出来ます。コルクは経年劣化により縮んできてしまい、密閉性が失われるため、定期的な交換が必要になります。

 


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2,反射板の位置を確認してみる。反射板の位置は、付属のクリーニングロッドを頭部管に入れ、ロッドの線が唄口の中心になるようにします。(写真左を参照ください)ただしヘッドキャップを回したときにまわし加減がゆるいようであれば要交換です。
3,頭部管を振ってみよう。かちゃかちゃと音がするようであれば要交換です。

下倉楽器 管楽器リペアセンター 小栗千果
 

フルート吹きならおさえておきたい人物

テオバルト・ベーム  1800年代 ドイツ楽器製作者

頭部管の先がつぼまっていたり、反射板の位置が決まっているのには、音程の補正と密接な関係があるからです。
例えば、頭部管が完全な「円筒」の形状だった場合、オクターブが上がると音程が低くなります。
他にも様々な問題を改善するため、反射板の位置や頭部管の形状を数値として出し、
現在のフルートの基本となる、

「管端から17mmの位置の唄口」
「円錐形状の頭部管」

を確立させたのが、テオバルト・ベームです。

修理の豆知識 「ウォーターキィコルク・ゴム」

10月 26th, 2008

ウォーターキィコルク(以下W/K)と一言で言っても金管楽器はもちろん、サックスにも使われているものもあり、また楽器のメーカー・機種によりその大きさ・形状・色と、様々な種類のものが出ています。
下倉楽器リペアセンターでは、14ブランド・30種類ものW/Kコルク(ゴム)を常時在庫して、即座に適合できるようにしています!

たかがW/Kコルク!されどW/Kコルク??W/Kがもたらす音色の変化とは?

W/Kコルクは、俗に言う「ツバ抜き」の穴をふさぐためについている事は言うまでもありません。
楽器の機能としてW/K自体は必要ないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません(なぜかといえば抵抗になるから)
しかし、この「穴」「段付き」によって、ほど良い抵抗感を生み出し、またコルクやゴムの材質・形状によってもその吹き心地が異なる。
「ホントぉ??-_-」って思った方、是非最後まで読んでください!!

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ウォーターキィがもたらす効果は大きい!

(1)W/Kコルクがもたらす役割

W/Kコルク(ゴム)の一番大切なこと。それは息漏れ、水漏れを防ぐ事にある。
それだけではなく、W/K自体を取り付けることにより、ほど良く管体の振動を抑え、
より遠鳴りする楽器になるのだ!
もちろん製造メーカーは、それを熟知した上でW/Kを取り付け、それぞれが「音色のキャラクター」の一部として機能しているのだ!!
中には、より抵抗感を抑えた「アマドキィ」というものも存在する!この「アマドキィ」は、抵抗は最小限に抑えられるが、その機構上固着しやすく、手入れがしにくいのが難点だ!

    
▲W/Kを分解した様子  ▲抵抗感を抑えたアマドキィ  ▲アマドキィ分解の様子
  ◆金管楽器修理価格表はコチラ。

(3)コルク・ゴムの種類をご紹介!

ここでは、それぞれのメーカーのコルク・ゴム・スポンジを紹介!


YAMAHA

V.bach

材質も形状も様々

メーカーにより
工夫が見られる
W/Kコルクは他にゴムやスポンジ状のものもある。
これはやもりブランドそれぞれのオリジナルで吹奏感や音色などに影響している様だ。ゴムにはコルクのように輪切りのタイプとニップルと呼ばれる煙突型の部位に入り込むタイプがある(凸型)。凸型は管の中の凹により出来た振動の伝わり方、息の流れをスムーズにしてやると言う役目がある。

 

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▲使い込んだW/Kたち

(3)では、どのようになったら交換が必要か?

皆さんの楽器のW/Kコルク、大丈夫ですか??
この場所ってあんまり凝視しないし、気がついたらボロボロになっているケースがほとんど!

■あなたの楽器のコルクは大丈夫??

コルク(ゴム)を見て、こんな風になっていたらすぐに交換しよう!!
常に塞ごうという力が加わっている場所なので、購入したばかりでも
使用状況によっては早いうちに交換の必要がある楽器も・・・。

●コルクが破れている。
●コルクがつぶれてしまっている。
●水漏れ、息漏れがする。またそのような感覚になる。

▼そんな上場がある方は、今すぐ交換しよう!!

 

 

修理の豆知識 「サックスのタンポ(パッド)」

10月 26th, 2008

どの木管楽器にも共通していえることですが、楽器の「音色」を維持するために、タンポの安定性、耐久性が非常に重要な要素となります。
サックスのタンポに関しては、タンポが大きく音色に影響する箇所もあり、材質の硬度や、レゾネター(反射板)の材質、またより耐久性の良い防水タンポなどが日々研究されています。
そんな各メーカーのタンポに、どんなコンセプトがあり、それがどう音色に影響するか、検証していきたいと思います!

反射板の違いによる音色の影響は??

これからご紹介するサックスのタンポの中央部に注目!!

サックスはトーンホールが大きいため、中心部にレゾネター(反射板)を設けて音色の違いを作り出しています。
一概に「メタル=高価=良い音」「プラスティック=安価=良くない音」 とは言い切れません。
ここでは、そういった各メーカーのタンポを紹介していきたいと思います。。。


クリックすると拡大写真がご覧になれます

(1)YAMAHA

 ヤマハのタンポは、タンポの材質、反射板の形状など、様々な研究がなされており、
最新モデル(YSS-875EX、YTS-875EX)と、YAS-82Z、YTS-82Zの一部に使用されている、撥水コーティング革製タンポは、従来のものとはなめし方が変わり、色は明るめになっています。コーティングによりサックス奏者の悩みの種である、タンポのベトツキが軽減され、高い密閉度で息漏れを防ぎます。
レゾネター(反射板)は全モデルプラスティックで統一されています。
研究されたレゾネター(反射板)の形状が、ヤマハのまろやかな音色を作っています。
←旧式のタンポは、豚革を使用していて、中に息漏れを防ぐビニールが入っていました。

■あなたの楽器のタンポは大丈夫??
タンポにこんな症状が現れていたら即交換!!
経年劣化により膨らんでしまったタンポも要注意!!

●タンポが破れている。
●タンポがカチカチに硬くなっている。
●キィが曲がって、トーンホールとタンポの溝がずれてしまっている。

 

 

   

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(2)YANAGISAWA

機種により防水、半防水、プラスティックレゾネター(反射板)、金属レゾネター(反射板)があります。半防水のタンポは皮が柔らかく、その分音色も柔らかくなります。
防水の金属レゾネター(反射板)は、音の立ち上がりが良く、はっきりとした音色となります。
タンポを接着するためのラック(熱で溶かすニスのようなもの)は2種類、たっぷりと入っているので外れにくく、タンポが変化した際の微調整にも対応しやすくなっています。

■あなたの楽器のタンポは大丈夫??
タンポにこんな症状が現れていたら即交換!!
経年劣化により膨らんでしまったタンポも要注意!!

●タンポが破れている。
●タンポがカチカチに硬くなっている。
●キィが曲がって、トーンホールとタンポの溝がずれてしまっている。

 

   

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(3)H.SELMER

セルマーのタンポは、時代により使用しているタンポが異なります。
マークⅥやマークⅦ、またリファレンスにはプラスティックのレゾネター(反射板)が使われ、ソフトでまろやかな音色が特徴です。
また現行のSA80Ⅱ、シリーズⅢには金属のレゾネター(反射板)が使用され、輪郭のはっきりとした音色になります。
タンポの表面はしっかりとコーティングされていて、高い密閉度を保っています。
製造の過程(工場出荷状態)では、ラックではなくゴム系の接着剤を薄くつけているだけなので、ラックを使用することにより、音の響きが変わるかも・・・。

■あなたの楽器のタンポは大丈夫??
タンポにこんな症状が現れていたら即交換!!
経年劣化により膨らんでしまったタンポも要注意!!
●タンポが破れている。
●タンポがカチカチに硬くなっている。
●キィが曲がって、トーンホールとタンポの溝がずれてしまっている。

 

   

気になるタンポのベトツキ。どうしよう・・・

←サックス奏者の悩み、それはタンポがベトついてしまうこと・・・。
この「ベトツキに効くアイテムが、様々なメーカーから出ています。
それぞれ作業性、即効性、持続性が異なりますが、紹介したいと思います。
また、価格も1000円弱から、3000円近いものまで幅がありますので、
是非下倉スタッフまでご相談ください。
症状や使用する環境などに合ったものを提供させていただきます。
◆画像をクリックすると拡大写真がご覧になれます。

 

上記を読んで、「別のタンポに交換したい」という方もいらっしゃるはず・・・。
しかし、メーカーによってタンポのサイズが異なり、適合するか確認する必要があ
ります。
中には、同じ場所でも1mm以上大きさが違うものあるので、要注意です。

基本は純正のタンポを使用してくださいね。各メーカーが研究を重ねて使用しているわけなので、
純正が一番、そのメーカーの「個性」を引き出してくれると思いますよ。

下倉楽器 管楽器リペアセンター 越智

 

修理の豆知識 フルートのタンポ(パッド)」

10月 26th, 2008

どの木管楽器にも共通していえることですが、楽器の「音色」を維持するために、タンポの安定性、耐久性が非常に重要な要素となります。
特にフルートに関しては、湿度によるタンポの変化が音色に影響しやすく、現在でも各メーカーが日々タンポに最適な素材を見つけるため、日々研究がなされています。
ここでは、現在までに研究されているタンポの特徴をお話ししたいと思います。

タンポによるタッチの違いが、皆さんにも体感できます!

これからご紹介するフルートのタンポは、それぞれコンセプトが異なります。この「タンポ」が音色を左右し、各メーカーの(音色の)ブランドイメージを作り出しているといっても過言ではありません。

今回は、代表的な3つのタンポを紹介致します!


(写真はムラマツ用)

(1)フィッシュスキンタンポ

 現在最も一般的に使用されるタンポです。
圧縮したフェルトの上に、ブラダー(豚の腸)を巻いています。
特徴は、素材が薄いため、トーンホールへの密着が非常良いという事。
そしてフェルトの柔らかさが伝わりやすいので、音も柔らかく繊細で、指への振動も自然です。また、価格がリーズナブルなのも魅力の一つです。
  ただ、素材が薄いため、耐久性はあまり良くありません。
湿度や水分の影響を受けやすく、時間が経つにつれて表面にシワが寄り、このシワが雑音の原因
になって音に出てきます。
ご自身の楽器のタンポを見ていただいて、トーンホールの跡に沿って破れていたり、硬くなっていたり
ケバケバになっているようであれば要交換です!

   

(写真はパウエル用)

(2)ストロヴィンガータンポ

 アメリカのストロビンガー氏が開発したタンポで、既に特許を取得している画期的なタンポです。
フェルトパッドに比べて寿命が長く、経年劣化や湿度による変化が少ないため、丁寧に扱っていれば、タンポそのものの調整はほぼ必要ありません。
新素材の採用によって、トーンホールにタンポが当たる際に固めの音が出ます。
ストロビンガータンポの構造は5層と複雑に成型されており、特に時間や湿度によって変化の激しいフェルトの厚さは最小限に抑えられ、高精度の樹脂枠内にフェルトを収納して、パッドの自然変化をほぼ解消しています。

   

(3)ムラマツオリジナルタンポ

 その素材、仕様などは現在は公開していませんが、一時期ストロビンガーを使用していたムラマツフルートが、その「硬さ」を嫌い、独自に開発したタンポです。
  構造的には特殊なシリコンの階層に加え、内部を中空にする事により、ほど良い柔らかさの音色とタッチを実現。内部はこの後に紹介するシリコンタンポかと思われます。
 フィッシュスキンのような柔らかさ+ストロビンガーのように調整はほとんどいらず、耐久性も申し分ない、まさに画期的なタンポといえます。

   

ごめんなさい!
画像はありませんm(。._.)m

(4)シリコンパッド

トーンホールがあたる部分の周りが中空になっている、シリコンを使用したタンポ。
中空になっていることによりたわみを持たせている。
フルートのほか、ピッコロにも使われるタンポです。
調整の頻度も少なく、耐久性も良いたんぽですが、残念ながら日本ではあまり使われておらず、主にヨーロッパでよく使用されています。

   
内側断面の違いに注目!

←左からストロビンガータンポ、 フィッシュスキンタンポ、 ムラマツタンポ。
内側の断面に注目! ストロビンガーが、内部に樹脂を入れているため、白い樹脂が顔を出す。
フィッシュスキンの断面はフェルトがむき出しになっている。 ムラマツは断面に金属が張ってあり、変形しにくい構造になっている。 変形しにくい分、初期の調整は難しい。

◆画像をクリックすると拡大写真がご覧になれます。

これでフルートのタンポにはどのような種類があるのかは分かりましたか?
今まで様々なタンポが研究されてきましたが、これだけ「未完成」なフィッシュスキンが多用されている理由の一つは、やはり「音色の柔らかさ」ではないのでしょうか?
しかしながら、ムラマツのタンポはまだ開発されたばかりで、これからどのような評価がされるのか期待されるタンポです。

また、より調整が必要ないタンポは、断面や内部に金属や樹脂などを加え、形状が変化するのを抑えた構造になっています。
フィッシュスキンは古典的で、断面には何も処理は施されていません。
その分形状が変化しやすく、調整を頻繁におこなわなければいけなくなります。

「別の材質のタンポに交換したい」という方もいらっしゃるはず・・・。
しかし、メーカーによってタンポのサイズが異なり、適合するか確認する必要があります。
中には、同じ場所でも1mm以上大きさが違うものあるので、要注意です。

基本は純正のタンポを使用してくださいね。各メーカーが研究を重ねて使用しているわけなので、
純正が一番、そのメーカーの「個性」を引き出してくれると思いますよ。

 

修理の豆知識 「クラリネットのタンポ(パッド)」

10月 26th, 2008

よくお客様からの質問に、「クラリネットのタンポは色々種類があるけど、どう違うんですか?」
という質問を受ける事があります。
今回は、タンポの種類、そしてその音色、耐久性、価格の違い等をお話したいと思います。

「たかがタンポ、されどタンポ」タンポの違いでこれだけの音色の差が現れる!!

みなさんはタンポの材質にこだわったことはありますか?
なかなかココまでこだわる方は、実際は少ないと思います。。。
が、今の音色に満足できない方!タンポを替えることによって、その悩みから解き放たれる!!かも・・・。(;^。^A

今回は、代表的な3つのタンポを紹介致します!

(1)フィッシュスキンタンポ

 現在最も一般的に使用されるタンポです。
圧縮したフェルトの上に、ブラダー(豚の腸)を巻いています。
特徴は、素材が薄いため、トーンホールへの密着が非常に良いという事。
そしてフェルトの柔らかさが伝わりやすいので、音も柔らかく繊細で、指への振動も自然です。また、価格がリーズナブルなのも魅力の一つです。
  ただ、素材が薄いため、耐久性はあまり良くありません。
湿度や水分の影響を受けやすく、時間が経つにつれて表面にシワが寄り、このシワが「チリチリ」と雑音になって音に出てきます。
寿命は、概ねですが、毎日数時間吹くような場合では、だいたい半年程度です。
キィの場所によっても、交換の頻度が異なり、C#/G#キィやBbトリルキィ、Aキィ、G#キィは水分の通り道となるため傷みやすいタンポです。
ご自分の楽器を是非ご覧頂いて、パッドが膨らんでいたりケバケバになっていたり、擦り切れているようであれば要交換です!

 

(2)ゴアテックスタンポ

 フィッシュスキンタンポの上に薄い「ゴアテックス」が巻いてあります。
ゴアテックスは、ウィンドブレーカーなどの衣類にも使用されている素材で、湿気を外へ逃がし、かつ密閉性、耐久性に優れています。
 薄くてもかなり丈夫で、フィッシュスキンタンポで起こる、チリチリという雑音を防ぐ事が出るのも大きな特徴です。また、表面がツルツルしていてとても滑らかなので、息の通りがスムーズになり、音色も明るくなります。
 中身はフィッシュスキンタンポと同様なので、フィッシュスキンタンポのよさを残している反面、使用していくうちに中のフェルトが圧縮されて硬くなってきます。
また、湿気を通すため、フェルトが膨らんでくるという可能性もあります。
「まったく狂わないタンポ」というわけではないので、交換後の調整も行っていくことが大切です。
価格はフィッシュスキンパッドよりもやや高めです。

 

(3)皮タンポ

 フェルトの上に皮を巻いたパッド。非常に耐久力があり、密閉性にも優れています。吹奏感が重たくなると思われがちですが、最近では皮の加工技術の向上により、薄く表面の滑らかなものが使用されているため、音の反応がよく、音色は重くならず柔らかい音色になります。
  純正がフィッシュスキンタンポの楽器でも、耐久性に優れているという事から、傷みやすい部分に皮を使用しているものを最近では良く見るようになりました。
素材の硬化が進むにつれ、音も硬くなってきます。硬くなると音が多少明るめに聞こえるので、「それが良い」という方もいらっしゃいます。もっともこれは好みの領域なので、どちらが良いかはなんともいえませんが・・・。
また、皮タンポの中には防水加工が施されているものもあります。そういったタンポはベトツキが出る事もあるので、きちんと管理をする必要があります。
コチラのタンポもゴアテックスと同様、高めの価格設定となっております。

 

いままで何の興味も無かった方、結構いらっしゃると思いますが、タンポ一つでもこれだけ変わるわけです!
この様々な素材に興味があれば、是非交換が必要になった時にチャレンジしてみてください。
きっと、今まで使用していた楽器でも、また違った反応になったり、音色も変わってくると思いますよ。
困った時は、お気軽にご相談くださいね。

 

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